現代のデジタル写真は,驚くほど「完璧」です.スマートフォンでも,まるでプロが撮ったかのようにシャープで,ノイズひとつないクリアな画像を簡単に手に入れることができます.
しかし,完璧なものだけが美しいのでしょうか. 「24/36」は,むしろフィルム写真が持つ「不完全さ」の中にこそ,抗いがたい魅力が宿っていると考えています.
「失敗」ではなく「味」になる
フィルムカメラで写真を撮ったことがある方なら,経験があるかもしれません.
- 思ったより少しだけピントが甘かった.
- 光が強すぎて,一部が白く飛んでしまった.
- 予期せぬ光が入り込んで,不思議な模様が写り込んだ(光線漏れ).
これらは,デジタル写真の世界では「失敗」と見なされるかもしれません.しかし,フィルム写真の世界では,それらが二度と再現できないその瞬間の空気感を閉じ込めた,ユニークな「味」となるのです.
少しブレた写真は,その場の躍動感を伝え. 白飛びした部分は,その日の日差しの強さを物語る. 完璧ではないからこそ,その写真は単なる綺麗な画像を超えて,生々しい記憶の断片として私たちの心に残り続けるのです.
「24/36」が受け入れる,ありのままの記録
「24/36」には,撮り直し機能がありません.AIによる補正機能もありません.シャッターが切られた瞬間の光と影を,ありのままに記録します.
それは,この「不完全さの美学」を体験していただくためです.
現像された写真を見て,「ああ,もう少しこうすれば良かった」と思うこともあるでしょう.しかし,それもまた,その時のあなた自身が世界を切り取った,かけがえのない記録です.
完璧な一枚を目指すプレッシャーから解放された時,私たちはもっと自由に,もっと素直にシャッターを切れるようになります.失敗を恐れず,目の前の瞬間に集中する.そのプロセスそのものを楽しむことこそが,写真の本質的な喜びなのかもしれません.
あなたのギャラリーに並ぶ写真が,すべて完璧である必要はありません.少し不完全で,だからこそ愛おしい.そんな写真たちと共に,あなただけの物語を紡いでいってください.


コメント